第89回香川県美術展覧会|香川県知事賞

この度は、第89回香川県美術展覧会において香川県知事賞を頂きました。
10年ぶり二度目の栄冠、心より感謝申し上げます。
『木には望みがある。たとえ切られても、また芽を出し その若枝は絶えることがない。
たとえ、その根が地の中で老い、その根株が土の中で死んでも、水の潤いがあると芽を吹き出し、苗木のように枝を出す。』(旧約聖書・ヨブ記14章7節~9節)
この聖書の御言葉に感銘を受けて、切り株から伸びる蘖(ひこばえ)を、香川漆芸の籃胎と存清技法で制作しました。
世界は戦争の中にあり、軍拡は進み、支配的な大国が権威を振るい、日本は疲弊し、息苦しい時代を生きる私たちは、人生を根本から切り倒されるような経験をします。しかし、根っこに輝く命を持っている人は、倒されてもまた復活します。私自身のキリスト信仰から来る希望と確信を【蘖】で表現しました。これからも香川漆芸の伝統を守りつつ、新しく美しく心に響く様な作品を作らせて頂きたいと思います。
